

第23-004号
2023年5月25日
独最新eVTOLドローンを用いた血液製剤の輸送に関する実証実験の実施
-新しい輸送手段としての有効性を検証し、社会実装を目指す取組-
- ・ドローンを使った血液製剤輸送の第一人者による血液製剤輸送の社会実装に向けた医学的検証のための実証実験を実施しました。
- ・伊藤忠商事を主体者、墨東病院を共同研究者、ANAHDを共同運航者に、ドイツのWingcopter Gmbh社製最新のeVTOL型ドローン「W198」を本邦初めて使用し、遠隔地への血液輸送を想定した長距離・長時間飛行の実証実験を行いました。
ANAホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:芝田 浩二、以下「ANAHD」)は、ドローンを使った血液製剤輸送の第一人者による血液製剤輸送の社会実装に向けた医学的検証のための実証実験(以下「本プロジェクト」)を、茨城県稲敷郡にあるドローンフィールドKAWACHI(以下「サイト」)にて、伊藤忠商事株式会社(以下、「伊藤忠商事」)と地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立墨東病院(以下、「墨東病院」)と共同で実施しました。
本プロジェクトは、伊藤忠商事が2022年3月に資本業務提携・販売代理店契約を締結したドイツのWingcopter Gmbh社(以下、「Wingcopter社」)製のドローンを使い、伊藤忠商事を主体者、墨東病院を共同研究者、ANAHDを共同運航者として、取扱いが難しいとされてきた温度管理が必要な血液製剤を、同じく達成が難しいとされてきた全自動による高速での長距離安定移動の可能性を、品質管理面と共に検証するものです。
本邦初となるWingcopter社最新のeVTOL型ドローン「W198*1」を使用し、遠隔地への血液輸送を想定した長距離・長時間飛行の実証実験を行いました。厳密な温度管理が求められる血液製剤の格納するドローン用の保冷容器は、医療向け定温輸送容器の製造・販売に実績のある株式会社スギヤマゲン様にご協力頂きました。また、2種類の血液製剤を調達した墨東病院から実証実験を行ったフィールドまでの往復(片道約75km)の血液製剤の輸送容器並びに輸送に関しては、それぞれ東邦ホールディングス株式会社、株式会社セルートにご協力頂きました。
日本では、2022年12月の改正航空法によりレベル4(有人地帯における目視外飛行) *2が解禁され、ドローンの活用領域が大きく拡大しました。今回実証実験の対象とした血液は、その性質上輸送にあたっては緊急性及び定時性の両面が求められ、その物流を支えるインフラや人員の確保、血液の安定供給と品質維持が大きな課題となっています。本プロジェクトでは関係者の医学監修・協力のもと、現場での運用を見据え、実践的な手法・機材を用いた輸送フローを検証することで、有効な物流手段の一つとしてドローンが様々な社会課題の解決に大きく貢献することを示してまいります。
- *1) 正式名称はWingcopter198。Wingcopter社が自社で製造・開発するティルトローター*3機構で、固定翼機でありながらマルチコプターのような自律垂直離発着・ホバリング機能を持つ。一度の飛行で、3カ所に配送可能なトリプルドロップ機能も有している。
- *2) レベル4(有人地帯における目視外飛行)
市街地等の有人地帯における「目視により常時監視することなく飛行させる」無人航空機(ドローン)の飛行。 - *3) ティルトローター
垂直/短距離離着陸のための手法のひとつで、ローター(プロペラに似た回転翼)を、機体に対して傾けること。
■ 本プロジェクトにおける各社役割
■ Wingcopter社について
ドローンを通じて世界中の国々や地域の生活を向上させることを企業理念に、2017年に設立されました。以来、医療品分野を中心に、アフリカでの医療品配送ネットワークの構築や、日本を含む世界各地での実証実験を通じてドローン物流の事業化を目指しています。同社の安定した高速・長距離飛行が可能なドローンの利用は、医療品や医療資機材に限らず食料品や日用品等の配送も可能とし、特に自然災害が多い日本では離島や山間部、被災地でのBCP対応への貢献が期待されます。
今回使用したドローンの仕様
<ANAホールディングス、ドローン事業の取り組み>
ANAHDでは航空機の安全運航に関する知見を活かし、ドローンオペレーターとして、福岡市や五島市にて無人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル3)による実証実験を行う等、有人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル4)解禁後のドローン配送サービスの事業化検討にむけて、継続して検証を実施しています。
ドローン配送事業化に向けた取組みはこちら(https://www.ana-drone.com/
以上
- 報道機関からのお問い合わせ先:
ANAホールディングス株式会社
広報・コーポレートブランド推進部
03-6735-1111
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