第19-007号
2019年7月1日
ANAホールディングスと理化学研究所との共同研究始動
~ANA AVATARに実装する新しい光学システムの開発に向けた取り組み~
ANAホールディングス株式会社(以下、ANAHD)は、理化学研究所(以下、理研)と、理研の光量子工学研究センター[1](以下、RAP)がこれまでの基礎研究で培ってきた知見及び技術と、ANAHDがAVATAR開発で培った知見及び技術を組み合わせることによって、新しい光学システムである「ANA AVATARの眼球模倣型撮像システム」に関する共同研究を開始します。
ANAHDと理研は、理研未来戦略室[2]において、移動手段に留まらないANA AVATARが可能にする幅広い未来の可能性からバックキャストして[3]、ビジョンを実現するための重要な技術や研究課題に繋がる未来シナリオを描き、両者の連携で目標とするAVATARビジョンを下記のように設定しました。
- ・自然災害や山岳遭難等での危険な場所で、24時間連続した救助が可能なレスキューAVATAR
- ・インフラ未発達な地域での高度な医療の提供・技術の伝承が可能なAVATAR
- ・宇宙等の極限環境への人類生存圏の開拓に向けたパイオニアAVATAR
- ・飛行機内のような閉鎖環境における急病人に対する医療行為を行うAVATAR
今回の共同研究は、RAPで培ってきた画像処理技術等を応用し、視野の中心部は高解像度で周辺視野は低解像度で認識をしている人間の目を模した撮像システムを開発し、通信環境が良くない場所でも低遅延に画像転送可能な技術の実現を目指しています。本研究を推進することで、自然災害被災地や山岳など人の立ち入ることが困難な極限環境や通信インフラが未発達な地域、過疎化でインフラ維持が困難な地域においても、ANA AVATARのサービスを届けることが可能となります。
ANAHDと理研は、今後の活動を通じて、「世界中のあらゆる人々と社会課題」とをつなげる技術開発を促進し、世界中の課題を解決しようとする方々と協力して、SDGsの達成に貢献してまいります。
1.共同研究の概要
- 課題名:
ANA AVATARの眼球模倣型撮像システムに関する研究開発 - 実施期間:
2019年4月1日から2024年3月31日 - 研究概要:
通信帯域等の制限がある閉鎖空間で、人間の視覚認識に耐えうる画像転送を実現するための光学設計やアルゴリズム開発とアルゴリズムを実装したプログラム開発を実施する。 - 研究代表者:
深堀 昂 ディレクター
(ANAホールディングス アバター準備室)
横田 秀夫 チームリーダー
(理研 光量子工学研究センター 画像情報処理技術研究チーム)
2.補足説明
- [1] 理研光量子工学研究センター
理研に設置された、国家的・社会的要請に応える戦略的研究開発に取り組む戦略センターの一つ。光の可能 性を極限まで追求し、今まで見えなかったものを見ることを目的に研究を推進している。超短パルスレーザー や波長可変レーザー、テラヘルツ光、中性子線等の線源に関する研究を実施。超解像顕微鏡、超高精度な光 格子時計、物体を透視する非破壊検査の研究に加えて、取得した画像に対して情報処理により必要な情報を 人に提示する画像処理の研究を推進。 - [2] 理研未来戦略室
理化学研究所が未来社会に対して役割を果たしていくために、科学技術の未来のみでなく科学技術が生む価 値の多面性を見つめ、百年さらにそれ以降のあるべき未来社会のビジョンとシナリオを描き、社会に提供して いくことに取り組んでいる。2017年9月に開設。 - [3] バックキャスト
ある事柄において、目標となる未来を定めたうえで、そこを起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未 来起点の発想法 - ※「理研の画像情報処理研究チームにおいて、本共同研究に関する内容を研究テーマとする研究員を2名 募集しております。公募の詳細については、理研の採用情報をご覧ください。
以上
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