夢の挑戦から確かな実績へ!
『Forbes Xtrepreneur AWARD 2026』
セーフモビリティ賞を受賞!

2026 / 09 / 30
イノベーション・宇宙

「空の安全」に向けた新たな挑戦が、社外から大きな評価を受けました!

2026年8月26日、事業共創によって新たな価値創出に挑むプレイヤーを表彰する「Forbes Xtrepreneur AWARD 2026」の授賞式が都内で開催されました。全国から寄せられた53件のエントリーの中から、BlueWX株式会社、ANAホールディングス・全日本空輸、そして慶應義塾大学による「乱気流AI予測プロジェクト」が見事『セーフモビリティ賞』を受賞しました。

プロジェクトメンバーの皆さんと授賞式の様子
(左から)全日本空輸(株) 兼 BlueWX(株) 岸 宏行さん、BlueWX(株) 村上 百合さん、
BlueWX(株) 渡辺 和成さん、ANAホールディングス(株) 松本 紋子さん、
慶應義塾大学 准教授 兼 BlueWX(株) 宮本佳明さん、BlueWX(株) 杉山 千尋さん

<乱気流AI予測プロジェクトとは?>

2019年に慶應義塾大学とANAホールディングスによる共同研究から始まったプロジェクト。ANAグループのパイロットや運航管理者など約4,000名を対象としたトライアル運用を通じ、現場の声を取り入れながら実用化に向けた精度向上を重ねてきました。
実は、Live ANA Groupでは過去(2023年2月)にもこのプロジェクト初期の挑戦を掲載。当時の熱意あふれる開発ストーリーは、こちらの過去記事をご覧ください。

https://www.anahd.co.jp/ana_news/2023/02/17/20230217.html

「世界初の挑戦」としてスタートしたこの産学連携プロジェクトが、どのようにして確かな実績を伴う栄誉を掴み取ったのか。その軌跡と驚異の予測技術、そして未来への展望に迫ります。

<見えない脅威「乱気流」に、最先端AIで挑む(世界トップレベルの予測精度)>

予測が極めて困難だったフライト中の突発的な乱気流に対し、ANAの「10年超・数十万件の現場データ」と慶應義塾大学 宮本准教授の「気象物理学」を最先端AIで融合。膨大なデータをAIに学習させることで、従来の予測限界を大きく突破しました。 その精度は世界トップレベル。予測モデルの精度指標(AUC値)において、従来手法(0.7前後)を大幅に上回る「0.91〜0.92」という圧倒的な高精度を達成しています。

一般手法とBlueWX予測のAUC値の比較
完璧なモデルである「1.0」に極めて近い数値を示しています

その精度の高さは、実際の運航データを用いた事例検証でも明確に裏付けられています。従来の手法では見逃されていた乱気流も、このAI予測システムは事前に見事に捉えていました。

<日本の空から、世界のモビリティ全体の安全へ>

トライアルアンケートでは、95%のパイロットが「継続利用を希望する」と高く評価。ANAグループの安全を裏から支える強力なパートナーとして、2025年8月より正式導入し、国内外の航空会社にも販売を開始しました。事前に高度やルートを変更できることで、乱気流を回避するだけでなく、飛行時間の短縮や燃料節減、すなわち「CO2排出量の削減」にも繋がっています。
その活躍の場はすでに世界へ広がっており、2026年7月からはキャセイパシフィック航空でもトライアルが開始されました。

<関係者からのコメント>

このプロジェクトをそれぞれの立場で牽引し、今回の受賞へと導いた5名のプロフェッショナルたちに、これまでの歩みと未来への想いを聞きました。

ANAホールディングス株式会社 グループ経営戦略室事業推進部 /
BlueWX株式会社 社外取締役
松本 紋子さん(プロジェクトの発起・企画・推進者)

気候変動で乱気流の発生頻度や強さが増す未来を見据え、「どんな気象でも安全な空の旅を実現したい」との想いから本プロジェクトは始まりました。前例のない「AIによる高精度な乱気流予測」を目指し、宮本先生、システム構築を推進してくださったASYの渡邊さん、初期評価に尽力いただいた田村キャプテンらと試行錯誤を重ね、プロトタイプを完成させました。その後、ANAグループ約4,000名でのトライアルで高い評価を得て、「この安全価値を世界へ普及させたい」と慶應大学発のベンチャー企業としてBlueWX株式会社を設立。渡辺CEOも迎え、グローバル販売を開始しました。多くの方々の賛同と支えがあったからこそ今があります。今回の受賞を心より嬉しく思うとともに、共に挑み続けてくださった皆さまに深く感謝申し上げます。

ANAシステムズ株式会社 AI・デジタルバリュー変革統括 AI・イノベーション推進部
渡邊 英三郎さん(システム開発・Web実装を担当)

松本さんの強い熱意に惹かれ「ITの力でこの挑戦を支えたい」と参加を決意しました。開発で最も苦労したのは、AI予測に対するパイロットの信頼獲得です。AIの性質上「100点満点の正解」が出しにくい中で、専用アプリケーション(tableau)ではなくWeb画面で閲覧できるようにする、高度や縦方向の断面図を見せる、温位や風向などの重ね合わせをON/OFFできるなどの工夫を凝らし、現場で「使える」と評価されるまで試行錯誤を重ねました。これまで既存業務の自動化を多く手掛けてきた私にとって、ゼロから新しい価値を生み出し、ITを通じて航空安全に貢献できたことは大きな喜びです。今回の受賞を誇りに、今後もITの力で空の安全を支え続けていきたいです。

全日本空輸株式会社 ANA フライトオペレーションセンター B787部 機長
田村 恵一さん(実運航での評価・検証を担当)

Turbulenceの予測はこれまでパイロットの経験や判断に依存する部分が大きく、非常に難しい課題でした。本プロジェクト開始当時も予測モデルは存在していましたが、判定方法が比較的簡素で実運航における精度も十分とは言えませんでした。AIを活用した予測モデルの構想を初めて聞いた際にはその画期的な技術に大きな期待を抱きました。実運航での精度も従来とは明らかに異なり、「このプロジェクトを決して途絶えさせてはならない」と感じ全面的に協力することを決意しました。そして、このプロジェクトが発展し今回このような賞を授与されるに至ったことを大変うれしく思います。

慶應義塾大学 環境情報学部 准教授 / BlueWX株式会社 ファウンダー兼CTO
宮本 佳明さん(プロジェクトの発起・乱気流予測技術の開発を担当)

航空の安全・安心に貢献できる技術を実現したいという想いから、開発に取り組んできました。技術的な難しさに加え、実際の運航で使える精度・品質を追求することには多くの苦労がありました。その中で、ANAの皆さまには何年も前からBlueWXの乱気流予測をトライアル利用していただき、現場でのご意見や実データを通じて、モデルを継続的に発展させることができました。今回の受賞を大変うれしく思うと同時に、これまで支えてくださった皆さまに感謝しています。今後も技術を磨き、航空の安全・安心に貢献できるサービスへと成長させていきたいと思います。

BlueWX株式会社 代表取締役社長
渡辺 和成さん(事業推進・海外展開を担当)

グローバル事業化にはマーケティングや販売網の構築、ファイナンスや組織体制の整備といった土台の構築が不可欠です。海外の顧客候補、販売パートナー、更に投資家などとの難しい調整もありますが、そのような基盤づくりを通じて日本発世界トップの地位を目指します。今回の受賞はこれまでのANA様や慶応大学様の皆様の努力の賜物であり、絶対に成功に導かねばと身が引き締まる思いです。今後は乱気流予測製品の成功は勿論、更に航空業界全体にメリットをもたらすデータサービスを拡大していければと思っています。

「夢の産学連携」から「スタートアップ設立」、そして「社会実装」へ。数年をかけて着実に積み重ねてきた実績が、今回の『セーフモビリティ賞』という大きな実を結びました。

ANAグループはこれからも、BlueWXや慶應義塾大学とともに、世界の空の安全とモビリティ分野全体の発展に貢献し続けます。