サステナブルな未来の空へ
~ANAのCSOが世界に発信するサステナビリティ・ビジョン~

2026 / 07 / 17
サステナビリティ

ICAOグローバル・アンバサダーに任命されたANAグループCSOの保谷智子さん。サステナブルな航空産業の実現に挑むいま、自身のキャリアの原点と、これまでの歩みを振り返ります。


ANAホールディングス株式会社 執行役員兼グループCSO(Chief Sustainability Officer) 保谷智子

国際民間航空機関(ICAO)は、国際航空の世界的基準や規則を策定する国連の専門機関です。同機関は、ロールモデルや業界リーダーの知見を通じて次世代の航空専門家をインスパイアすることを目的とした世界的な取り組み「ICAOグローバル・アンバサダー・プログラム」を立ち上げました。

日本の国土交通省航空局(JCAB)が推薦した2人がICAOグローバル・アンバサダーに任命されそのうちの1人が、ANAホールディングス株式会社(ANA HD)の執行役員兼グループChief Sustainability Officer(CSO)である保谷智子さんです。

保谷さんのANAでの歩みは、1992年に客室乗務員としてスタートしました。その後、オペレーションサポートセンター、アジア・オセアニア室総務部長、ANA HDのDEI推進部長など、多岐にわたる部門での経験を経て現在の役職に就いています。

今回は、ICAOグローバル・アンバサダーとしての役割や、ANAグループが推進するESGの取り組みについてお話を伺いました。

ICAOグローバル・アンバサダー・プログラム

教育機関で講演する保谷さん

ICAOグローバル・アンバサダー・プログラムは、未来の航空人材をインスパイアするだけでなく、ICAOの認知度向上や航空業界におけるダイバーシティ(多様性)の推進も目的としています。

「教育機関でのセミナーやワークショップ、また「空の日」のイベントや海外で開催されるカンファレンスにおけるネットワーキングイベントを通じて、航空業界の持つ魅力や重要性を伝えていくことが、ICAOグローバル・アンバサダーの役割です」と保谷さんは語ります。

諸外国では航空当局関係者からアンバサダーが選出されるケースが多い中、日本においては、ANAを含む民間航空会社から選出されました。

「こうした選出方針には、航空会社の代表として、現場の専門知識を活かし、国内外で存在感を示してほしいという期待が込められていると受け止めています。航空業界でキャリアを築き、現場で積み上げてきた実績を評価していただいたのだと感じています」

グループCSOとしての役割

ANA HDを代表し、「S&P Global Sustainability Yearbook 2026」の表彰を受ける保谷さん

執行役員兼グループCSOとして、保谷さんはサステナブルな航空業界の未来を創る取り組みを牽引しています。その一環として掲げる「ANAグループ中長期環境目標」の達成に向け、2030年までに航空機からのCO₂排出量を10%以上(2019年度比)、それ以外を33%以上削減するとともに、航空燃料の10%を持続可能な航空燃料(SAF)へ置き換える動きを加速させています。同時に、機内における環境対策にも注力しており、プラスチック製品の紙・木製への切り替えや、2050年度までの食品廃棄物50%削減を着実に目指しています。

「サステナビリティとは、形だけの取り組みではありません 。飛行ルートや運航方法の工夫から、お客様が機内で手にする一つのカップに至るまで、私たちの事業運営のあらゆる細部に宿る責任なのです」と保谷さんは語ります。「これは組織のすべての階層での行動が求められるものであり、私たち一人ひとりが推進していく役割を担っています」

「私たちの果たすべきミッションは単に『数値目標』を追うだけでなく、役職や部署を問わず誰もがサステナビリティを自らの課題と捉え、日々の業務において自分の役割を実感できる 『文化』を築くこと。それこそが本質だと考えています。」

未来に向けて

東京で開催された「CDP AWARDS 2026」に出席する保谷さん

「ICAOグローバル・アンバサダーとして、世界中の皆様に航空の魅力を知ってもらい、この業界の重要性と価値を実感していただけるよう、さまざまな活動に取り組んでいくことを楽しみにしています」と保谷さんは笑顔で言葉を続けます。

さらに「航空会社として、私たちは空の懸け橋として世界をつなぎ、世界中の人々が交流し、理解を深め合うお手伝いをしています。また、物流を支えることで、より豊かな生活の実現にも貢献しています。そして災害時には、命を救うための極めて重要なインフラとしての役割も果たします。航空は、ANAグループが目指す社会のビジョン、つまり『平和で豊かな社会、 活力ある経済、 持続可能な未来へ貢献』の実現に直結しているのです」と付け加えます。

ANAグループCSOという立場から、航空機運航におけるCO₂排出量削減の課題についても率直な思いを明かしています。

「現在、SAFの供給量は限られており、そのコストは従来のジェット燃料の約4倍となっています」と保谷さんは指摘します。「ANAグループとしても運航の効率化などの自助努力を続けていますが、大胆な技術革新、エネルギー業界とのより深いパートナーシップ、そして政府によるいっそう強力な支援がなければ、この需給とコストのギャップを埋めることはできません」

ANAグループにとって、ネットゼロへの道のりは決して平坦ではありません。しかし、ANAグループは、国内外の航空を取り巻くすべての業界のパートナー、政府、そして次世代の航空リーダーたちとともに、力を合わせて着実に歩みを進めています。

※ANAグループのESGへのコミットメントと進捗状況の詳細については、ANAグループ・サステナビリティ・ウェブサイトをご覧ください。