もしもの時も、私たちの翼は止めない。
ANAグループが北海道で挑む
「運航司令塔機能の事業継続計画(BCP)」の舞台裏
地震や台風などの自然災害、そして予期せぬ緊急事態。
いつ何が起きても、航空ネットワークという社会インフラを維持し、お客様を安全に目的地へお届けするために、ANAグループはこの春より、新たなBCP(事業継続計画)の運用を開始しました。
舞台は、北海道――。
これまで運航管理機能の首都圏一極集中で事業効率を追求してきたANAグループが、近年、発生リスクが高まる自然災害(首都直下地震、南海トラフ地震、富士山噴火など)のあらゆる脅威に立ち向かうべく、運航管理のこれまでの常識を覆す決断をしました。
それは、『運航司令塔機能』の拠点分散。
その実現には、グループの垣根を超えて、4年もの歳月をかけて幾多の試練を乗り越えてきたプロジェクトメンバーたちの挑戦がありました。


施設の名称は「ANA Northern Operations Satellite」、愛称は「NOS(ノース)」。
「ワクワクを感じられる」や「長く愛される」をコンセプトに、プロジェクトメンバーから名称を公募し、決定しました。
この名称には、「北の大地でANAオペレーションを担う第二の重要拠点」という思いが込められています。
今回は、7月8日に行われた新施設のお披露目会の様子とともに、プロジェクトメンバーや実際にNOSで実務を担っているメンバーの熱い想いをお届けします。
<ANAグループが考える「未来への備え」>
「いつ何が起きても、社会インフラを止めない。」
その決意を形にするための指針が、BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)です。ANAグループは、自然災害などのあらゆる脅威にさらされてもなお、航空会社としての社会的責務を果たせるよう、強靭な体制づくりを追求してきました。
これまでも、空港オペレーションの生命線である「通信設備」や「電源供給設備」の保護、ITシステムの安定稼働計画など、多角的な事業継続マネジメントを実施しています。
今回実現した「運航司令塔機能の拠点分散」もまた、グループ全体で取り組むこの広範なBCP構想の重要な一手でした。
「なぜ北海道なのか――。」
首都圏から離れた「北海道」という選択。
もしも、オペレーションの中枢である首都圏に影響を与える大規模な災害が発生したら?
その「もしも」に備え、首都圏との同時被災リスクが低く、かつ強固な航空インフラを持つ北海道にバックアップ機能を構築することになりました。
これにより、いざという時も日本全国、そして世界をつなぐネットワークを維持できる体制が整います。


<プロジェクトメンバーの想い>
このプロジェクトには、運航関連部門はもちろん、IT部門や施設管理など、ANAグループからプロフェッショナルたちが結集しました。
幾多の困難を乗り越え、ついに「NOS」という形を結実させたプロジェクトメンバーたちの想いを伺いました。
【オペレーションマネジメント機能のBCP体制構築プロジェクト事務局全体統括※2026年3月まで】

ANA CX推進室CX戦略部
佐藤 淳矢さん
一極集中が事業効率を高めてベストという常識からの脱却。運航の専門スキルを持つスタッフをどう集め、距離が離れた拠点間の業務をどう成立させるか。できない理由を並べるのは簡単なこと、ANAと日本の空の未来に思いを馳せて、知恵と工夫でどう実現するか、考え方の変革が一番の鍵でした。ANAグループは首都圏と北海道から安全と信頼の翼で世界をつなぎ続けます。
【施設担当】

ANA 施設部
流下 智子さん
オペレーションの中枢を担う施設構築はハードルもありましたが、議論を重ね、各チームの働き方や有事の対応を想定し、机の配置やコンセント位置など細部までこだわりました。どのような時も一丸となり、ANAの安全運航を支え続ける、そんな想いを込めた施設です。

ANAファシリティーズ ファシリティソリューション部
伊東佳余子さん
BCP対策の施設であるため、非常時も電気を供給できることがプロジェクトメンバーからの要望でした。ビルで供給可能な電気容量に限りがあるため、必要量を精査しつつ、ビルオーナーと何度も協議を重ねて電気容量を確保できたことが印象に残っています。
【ITシステム担当】

ANAシステムズ・フィールドITサービス
緑川公雅さん
オペレーションマネジメント機能の重要なサテライト施設ということもあり、首都圏の施設と遜色ないシステム環境を整えることを最優先事項としてIT設備の構築を進めました。各デスクの機器配置や周囲とコミュニケーションを重要視したデスク環境など、表面的には見えづらい安全運航の堅持に対するこだわりを随所に感じる施設となっています。非常に勉強になる案件に携わらせていただいたこととともに、IT設備の構築に多大なご協力をいただいた関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます。
<7月8日(水)新施設のお披露目会を実施>
構想開始から約4年。
2026年4月から始まった各運航機能の移行期間を経て、7月からついに本格稼働を開始しました。現在、北海道の拠点では約60名の従業員がシフト制で勤務にあたっています。
お披露目会当日は、ANAの代表取締役社長の平澤さんも駆け付けてNOSで働くメンバーを激励。
メディアにもご取材いただき、スタートセレモニーも実施しました。




<NOSで働くメンバーの想い>
最後に、北の大地で新たな常識を築き上げようとする、NOSメンバーたちの「生の声」をお届けします。

オペレーションマネジメントセンター 国内線運航管理担当
鳴海 多乃さん
NOSで国内線の一部機種の運航管理を担当しています。現在は二拠点に分散して実務を行いながら日々改善を重ね、より強固な体制づくりに努めています。もしもの事態には全ての国内線の運航管理を引き受け、ご搭乗いただくお客さまに確実な安全と安心を届けられるよう、責任を持って取り組みます。

フライトオペレーションセンター・オペレーションサポート担当
青木 里加さん
NOS稼働開始に伴い、これまで首都圏で実施していたパイロットの勤務とフライトのサポート業務をNOSでも実施するようになりました。パイロットがベストコンディションでフライトに向かいお客様を安全に目的地にお届けできるよう、2拠点間でよくコミュニケーションをとりながら業務に励んでいます。

客室センター・オペレーションインチャージ担当
長澤 綾子さん
平時は、通常業務の傍ら、NOSメンバーの働きやすい環境つくりのため運営サポートを行っています。一方有事の際は、客室センターインチャージとして運航を守るべく、NOSで客室業務に関わる全般管理に専念します。定期的なリカレント教育により技量の維持にも取り組んでいます。

整備センター・整備計画管理担当
吉田 典路さん
平時は整備士として運航便を支えていますが、有事の際に整備計画管理担当者として就航機管理や整備期限監視業務を担う必要がありますので、リカレント訓練を行なっています。すぐに役割を切り替える難しさはありますが、平時はもちろん有事の際であっても、常に胸を張って機材を提供できるようにします。

リモートロードコントロール(以下RLC)担当
仲原 由佳さん
NOS内におけるRLC業務(海外から出発する飛行機の重量や重心バランスを日本からリモートで管理する業務)体制構築のため、総勢8名が集結し、海外発国際線(8空港)のRLC業務を実施しています。RLC業務は首都圏とNOSの2拠点体制で、首都圏有事の際は首都圏が受け持つ便をNOSで引き継ぎます。RLC業務の基盤を強固なものとし、オペレーション維持へ貢献します。

ANAウイングス・客室部乗務マネジメント課BCP担当
久保山 慶太郎さん
客室乗務員の勤務管理業務を担当しています。これまで2拠点体制の運用に向け、業務分担の整理や関係部署との連絡手段の構築に取り組み、円滑な運用開始に向けた環境整備に努めてきました。今後も関係部署との連携を深めながら、安全運航を支えていきます。
「もしも」の事態は、起きないことが一番です。
しかし、いかなる時もお客様に寄り添い、安全で安心な空の旅をお約束するために、私たちANAグループの「備え」に終わりはありません。
北海道という新しい大地に根を下ろした運航管理機能のBCP拠点・NOS(ノース)とともに、ANAグループはこれからも、社員一丸となって力強く飛び続けます。