組織横断の取り組みで社員の健康を増進
~健康白書2025を発行しました~

2025 / 12 / 25
その他

2025年11月に、健康経営に関する情報を集約した「ANAグループ健康白書2025」を発行しました。ANAグループの持続的な成長に向けた健康経営の取り組みと進捗状況について、社員とステークホルダーの皆様へ積極的に発信しています。

健康白書の発行に合わせて、これまでの取り組みの成果と、それを踏まえたこれからの健康増進の取り組みについて健康経営の取り組みにご尽力されているANAホールディングス グループ労政部およびANA健康管理センターの方にお話しをうかがいました。

<前列左から>
● ANA健康管理センター 産業医 飯田さん
● ANA健康管理センター 保健師/看護師 望月さん
<後列左から>
● ANAホールディングス グループ労政部 厚生チーム 廣田さん
● ANAホールディングス グループ労政部 厚生チーム 茨木さん
● ANAホールディングス グループ労政部 厚生チーム 渡辺さん

Q:ANAの健康診断の受診状況はいかがですか?
A:(望月さん)2025年度の受診率は国内についてはフローが確立されているためほぼ100%です。ただ、当社では4~7月を健診期間としていますが、出張などの事情で期間外受診となる方がいらっしゃるのが現状です。
安全衛生法および就業規則で定められた健診ですので、引き続き100%を目指して取り組むとともに、海外駐在員がいかに受診しやすくなるか、その仕組みづくりを今後の課題として進めてまいります。

Q:ANAでの今年度の健康診断結果から見る健康課題とは何でしょうか?
A:(飯田さん)以前の健康診断はABCの3段階判定でしたが、結果に基づき、より手厚いケアを行いたいという思いから、2022年よりDを加えた4段階に変更しました。現在はC・D判定の方々に対し、健康管理センターが中心となってサポートを行っています。
さらに今年度からは、B判定(軽度異常)の区分を細分化しました。これは、まだ症状が軽いうちに数値の変化に気づき、ご自身で生活改善に取り組んでいただきたいという狙いがあるからです。

今年の総括としては、コロナ禍以降年々悪化していた「要管理率(指導や病院紹介が必要な割合)」に、改善の兆しが見られました。皆さんの健康意識が高まった結果だと感じています。
ただし、詳細を見ると、コレステロール値や肥満など、日々の生活習慣に関わる項目についてまだまだ改善に乏しい所が目立ちます。今後は、こうした点にいかに関心を持っていただき、具体的な改善アクションにつなげていくか、という点を課題として取り組んでまいります。

Q:健康課題に意識を向けるポイントがあれば教えてください。
A:(望月さん)健診結果が思わしくない方への指導についてですが、初めて指導を受ける方は多くの「気づき」を得て改善してくださいます。しかし、毎年対象となっている方は、どうしても指導を受けること自体に慣れてしまい、なかなか改善につながらないというのが実情です。そのため、結果が悪くなる「一歩手前の段階」で、健康増進に向けたイベントなどを通じて関心を持ってもらえればと考えています。
イベントに関しては、健康管理センターとしても様々な工夫を凝らしてはいるのですが、本当に来てほしい方ほど、なかなか足を運んでいただけないというジレンマがあります。これは私たちだけでなく、全国どこの産業保健現場でも共通の悩みではあるのですが…。

Q:本当に届いてほしい人に対してはどのような気持ちで接していらっしゃいますか。
A:(飯田さん)面談記録を振り返りながら、一人ひとりに合わせた「手を変え品を変え」の工夫を続けています。 例えば、昨年の目標に少し上乗せする提案もあれば、逆にそれが負担であれば目標を下げ、まずは「スモールステップ」から始めてもらうなど、試行錯誤の毎日です。
大切にしているのは、ほんの少しの変化でも「ほめて、やる気を引き出す」こと。自信をつけることで、健康管理を「自分事」として捉えてもらうのが狙いです。
今はまだ、一人ひとり異なる「やる気のスイッチ」を必死に探っている状況です。 現場には対象者を想う「愛」はたっぷりあるのですが、その愛をどうすれば相手の心に届けられるか、そこが一番の悩みであり、難しいところです。

Q:ストレスチェックの受検状況と高ストレス者の推移はいかがでしょうか。
A:(廣田さん)ストレスチェックですが、現在は50人以上の事業所で義務化されており、将来的には全事業所へ拡大される流れにあります。

ストレスチェックの目的は大きく2つです。 1つ目は「個人のセルフケア」です。 まずは自分の状態に気づいてもらうことが大切です。昨年実施したセミナーのアーカイブも公開しており、その中では「マインドフルネス」や「リフレーミング」などの手法を紹介しています。 私も注目している「マインドフルネス」は、寝る前に行うなど、悪くなる前のケアとして有効です。「よく寝る」「ため込まずに相談する」といった基本も徹底して周知していきたいと考えています。

2つ目は「職場環境改善」です。 「自分は元気だから関係ない」と思われがちですが、組織全体の状態を見るために重要です。ただ、受検後の改善が見えにくいという課題があるため、来年度以降はANA’s Wayサーベイと連携するなど、より具体的な職場改善につなげる仕組みを検討しています。

最後に数字です。 受検率は昨年度60%まで落ち込みましたが、今年は危機感を持って周知徹底を行い、80%台まで回復しました。特に整備や客室部門では90%超を達成しています。 高ストレス者の割合も、昨年の10%超から今年は9%台に改善しました。「コロナ明けの生産量の拡大」が落ち着き、有給取得の促進などが効果を発揮し始めたのではないかと見ています。

Q:フィジカル・メンタル面の状況を受けて、健康経営をどのように推進していきますか?
A:(茨木さん)中期健康経営計画の目指す姿ですが、 フィジカル・メンタルの両面から社員の健康にアプローチし、社員一人ひとりが仕事のパフォーマンスを最大限高められるよう支援していくことです。

健康経営の基本的な考え方は「社員が健康にいきいきと仕事をするための投資」です。 ターゲットは傷病の人だけではありません。「今は元気だけど、心身の不調により実はパフォーマンスが落ちているかもしれない人」も対象です。20代だから、A判定だからと安心せず、将来へ向けてより良いパフォーマンスを発揮するために一人ひとりが健康増進に取り組む。これが私たちのメッセージです。

なぜ会社がそこに投資するのか。それは最終的に、生産性の向上や医療費コスト削減につながるからです。 実態を見ると、「身体愁訴(体の不調)」に悩む社員の割合は、残念ながら下がっていません。環境変化の影響もありますが、ここを改善するために、例えば業務の合間のANAグループ体操(下写真)や、歩く習慣作りを推進しています。

施策の効果が見えにくいという課題もありましたが、健康経営で目指すKPIを整理して施策との因果関係を明確にしました。 「会社で良い仕事をしてほしいから、社員の皆さんの健康を願っている」という想いを、この白書を通じて皆さんに知っていただきたいと考えています。

『歩Fes(あるふぇす)』:歩数計を活用したウォーキングイベントを年に2回開催しています。

Q:中期健康経営計画の達成に向けて順調ですか?
A:(茨木さん)管理指標などの数字を見ますと、改善しているものもあれば、残念ながらそうでないものもあり、結果はまだら模様です。
結局のところ、一番の課題は「意識」の部分だと感じています。 「会社がなぜ健康経営に取り組むのか」、その目的をきちんと理解していただき、社員一人ひとりが他人事ではなく、自分のこととして関心を持ってくれること。ここをどうクリアするかが、私たちが直面している最大のテーマです。

Q:フィジカル面での施策について教えてください
A:(渡辺さん)一番の悩みは、やはり健康に無関心な方にどうやって「当事者意識」を持っていただくか、これに尽きます。そこで、まずは「自分の体のことを知るきっかけ」を作ろうと、2つのイベントを軸に展開しています。
1つ目は「やさいの日」です。カゴメ(株)様と連携した「ベジチェック(推定野菜摂取量測定)」に加え、健康管理センターの保健師が体組成や血管年齢測定を行うことで、自身の体をチェックする場を提供しています。

やさいの日:野菜摂取の意識掲揚を目的に、「831(やさい)の日」にちなんだイベントを実施。

2つ目は「歩Fes」です。運動のきっかけがない社員のために年2回実施しているウォーキングイベントで、チーム戦によるコミュニケーションも狙いです。 ただ、どうしても参加者が固定化してしまい、参加者数が伸び悩んでいるのが実情です。
そこで今回は、特定の部門に個別に働きかけを行いました。その結果、客室部門では複数のチームが結成され、競い合うように参加してくれるなど、嬉しい変化が出ています。

Q:ご自身はどのような思いで取り組まれているのでしょうか。
A:実は私もこの担当になるまで、健康経営の取り組みを知りませんでした。しかし、自分でやってみて健康になったことで、日々の意識の大切さを身をもって知りました。今では私自身が一番楽しんで運営しており、新しい工夫をいくつか盛り込みました。
一つは「社員アスリート」の活用です。彼らの知見を活かした「歩き方動画」や、ANAケータリングサービスのシェフとコラボした「アスリート飯」の再現など、社員が楽しめる企画を用意しました。
もう一つは「役員の巻き込み」です。 「役員もやっているんだ」と知ってもらうために、役員のリレーインタビュー動画を作成しました。総力戦での参加率アップを狙った健康意識の高い役員からの熱いメッセージ作戦は、社員への良い刺激になったと思います。

また、「ベジチェック」や「体組成計」など測定会がバラバラに行われることで、本来の目的が伝わっていないこともあり、一部の地区では「からだ測定会」として一本化し、役員も呼ぶことで、「会社全体の健康イベント」としての存在感を高めています。

<最後に>
(皆さん)「健康は、失われて初めてその大切さに気づく」とよく言われます。 しかし、失ってからでは遅いのです。
私たちが目指しているのは、そうなる前に、一人でも多くの方にその価値に気づいていただくことです。そして、今日からご自身の身体のために、何か一つでも行動を起こしていただきたい。 そのきっかけを作るために、私たちはこれからも全力を尽くします。

※1 健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

※2 健康経営銘柄とは、東京証券取引所の上場会社の中から、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を選定したものです。投資家に魅力ある企業として紹介されるため、企業による「健康経営」の取り組みの促進が期待されます。原則として1業種1社ですが、取り組みが優れている企業についても健康経営銘柄として選定されます。

ANAグループの健康経営について
健康経営 | サステナビリティ | ANAグループ企業情報

健康経営銘柄2025プレスリリースについて
https://www.anahd.co.jp/group/pr/202503/20250310-4.html