
ANAグループの整備・空港部門が駐機中のAPU使用を制限し
脱炭素化を加速!環境負荷を軽減!
2022年12月の航空法改正で「脱炭素化」が盛り込まれたことを受け、ANAグループは羽田空港でのCO2排出量削減に向けた取り組みを強化しています。ANAライン整備士と、ANAエアポートサービス(株)のランプサービス部の担当者がタッグを組み、駐機中の航空機の補助動力装置(APU)使用を制限し、地上動力設備(GPU)の利用を推進。これにより、APU稼働によるCO2排出量を抑制し、燃料削減(FUEL SAVING)に貢献しています。さらに、夜間整備作業においてもGPUや電源車を積極的に活用し、APUに依存しない運用を着実に展開しています。
APUとは?
補助動力装置(APU:Auxiliary Power Unit)は機体後部にあり、エンジンが停止している時に機体へ電力や圧縮空気を供給するために使用される小型エンジンのことを言います。
GPUとは?
地上動力設備(GPU:Ground Power Unit)は航空機が駐機する場所(駐機場)において、地上からの電力と空調を供給する設備のことを言い、空港や駐機場によってGPUがある場所と無い場所があります。

出典: 国土交通省 東京航空局 ・成田国際空港株式会社統合報告書
https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/230323%20APU-off.pdf
(HP掲載画像の一部を加工して使用)
航空燃料を使うAPUに対して、GPUは電力会社経由の電気を動力源としているため、APUに比べ燃料コストの削減に加えて、CO2の排出や騒音を軽減することができます。
航空燃料に使用されるケロシンの価格とAPUを使用した場合の燃料消費率から検証した結果、APU使用時間を10分間短縮しGPUに置き換えるだけで、B777型機では約50リットル(小型自動車1台の満タン分)の燃料削減と、約126kgのCO2排出量が削減され、CO2排出量を約1/15に抑えることが可能となります。





<プロジェクトメンバーのみなさん>

ANAラインメンテナンステクニクス(株)羽田整備部
栗原 甚太郎さん(ESG経営推進/コスト担当)
羽田空港では駐機場によってGPUを使用できる場所に限りがあり、以前まではAPUによる出発準備が中心でした。ANAグループのESG経営を職場から推進するにあたり、ライン整備士としてGPUによる出発準備を行えるように職場環境を整えてきました。担当2年目となりますが、職場内でもGPUによる出発準備を実施する整備士が増えていることを実感しています。しかしながら、まだまだ道のりは半ばだと感じているため、今後もできることを一つひとつ実施していきたいと考えています。GPUの使用促進を進めるにあたり、地上設備の不足やANAグループ各社との調整など課題もありますが、より良き未来に想いを馳せながら今後も活動を継続していきます。

ANAラインメンテナンステクニクス(株)羽田整備部
髙橋 淳さん(ESG経営推進/コスト担当)
以前は出発前に整備士がAPUを操作して各システムの作動点検を実施していましたが、航空技術の進化により整備の点検方法が見直され、私たちは環境対策として出発前の点検作業でAPU操作を最小限に抑えられるよう、整備手順書等を改定し取り組んできました。その結果、脱炭素化の実現に向けて、実際にGPUを装着するANAAS担当者と共通の価値観を持つことができてきました。地球とお客様、自分たちの未来のためにCO2排出量ゼロに向けて挑戦していきます。

ANAラインメンテナンステクニクス(株)羽田整備部
清水 健一さん(他部署との橋渡し役)
ANAグループ全体でカーボンニュートラルへの取り組みが加速する中、私たちは現場の立場から、他部署との橋渡し役を担っています。私たちANAラインメンテナンステクニクスだけでなく、オペレーションに関わる多くの部署が連携する中で、それぞれの立場や考え方に違いはありますが、相互に尊重し合いながら、ANAグループの目指す環境に配慮したCO₂削減に取り組んでいます。

ANAエアポートサービス(株)ランプサービス部
木村 真夕さん(他部署との橋渡し役)
ANAグループとして足並みを揃え、脱炭素社会の実現に貢献することを目指しています。航空機が到着した後、できるだけ短い時間でGPUに切り替えができるよう、速やかに接続することを心がけています。取り組みの強化にむけて、グランドハンドリングスタッフが「なぜGPUが必要なのか」について、より深く理解することが重要だと感じています。これからも整備士の皆さんと協力して、GPUの必要性に対する理解度を高めていきたいです。
ANAグループは、2050年カーボンニュートラルを実現するため、CO2排出量削減の取り組みを続けてまいります。
https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/operating/