
オペレーションの屋台骨、FO推進部に迫る!
~地上から空の安全を守るプロフェッショナルたち~
年間約5200万人のお客様がご利用になる東京の玄関口、羽田空港。
ANAブランドが就航する各空港や運航部門と連携しながら、オペレーション品質向上のためのあらゆる企画・調整を行っている、ANA オペレーションサポートセンター(以下OSC)。ここで働く社員は空港ハンドリングや航空機整備に関わる部署を長く経験したスタッフに加え、若手の姿も多くあります。
今回は安全運航と日々のオペレーションの根幹を担うOSC内で、様々な道のプロが集結する部署、フライトオペレーション推進部(以下FO推)にクローズアップします。

<FO推の業務>
ANAブランド各社の運航・客室に関する規程類の制定、飛行場や航路情報の総合管理など、6チームで分担しています。
●業務推進チーム
部内の運営統括として、運航関連の規程類取りまとめや航空局との調整、電子マニュアルの管理、Green Operationの推進など幅広い分野で総合調整や企画立案を行っています。
●航路チーム
各空港の離着陸経路や航空管制のルールなどをRoute Manualという規程に反映し、運航乗務員や運航管理者/支援者の日常業務で使用いただいています。また、新規路線の就航にあたっては様々な基準や制限をクリアし、ANA便が飛行する経路を設定しています。
●運用技術チーム
パイロットが使用するマニュアルの作成や、新技術や新機種導入の検討をしています。現役の運航乗務員も所属していて、シミュレーターで検証を行いながら双方向で内容を精査します。
●性能技術チーム
航路や滑走路の検証をはじめ、世界の空港情報の管理や航空機の重量重心管理など、安全運航に欠かせない性能検証やデータ管理を行っています。
●客室基準チーム
ANAグループの客室乗務員が使用するマニュアルの策定・検証・管理を実施しています。
レポートや発生事象の分析、課題抽出や対応策を検討することで安全品質向上を目指しています。
●FO基準チーム
ANAグループの運航基準の検討・策定や、それに伴う航空局との調整を実施しています。
安全に飛行機を飛ばせる証明でもあり、運航乗務員や運航管理者/支援者の共通言語であるOM※の改訂を手がけています。
※OMとは・・
Operations Manualの略で、運航に携わる者が業務を実施する上での基準となる規程。
内容は多岐に渡り、全12章から構成されています。
ANAは昨年末からミラノ、ストックホルム、イスタンブールの欧州3都市へ新規路線を開設しました。これまで数えきれない社員が緻密な連携を積み重ねて、就航までの道のりを後押しした取り組みをはじめ、ANAの空の安全を地上から守る運航のプロフェッショナル集団、フライトオペレーション推進部の社員の魅力に迫ります。
●新規就航への道のり
新人の平山さんに話を伺いました。
●航路チーム 平山 さん
好きなスポーツ・・サッカー

ミラノでの現地視察を含めて、路線開設準備に取り組みました。
気象状況などで目的地を変更した際に着陸する代替空港の選定のため、空港側の対応や気象情報について現地の管制機関や空港運営会社と様々な観点で議論を重ねました。
目的地空港でのオペレーションについても直接確認し、ANAが誇る高い運航品質の実現に注力しました。ご利用になられるお客様が世界中どこにいても、ANAの安全運航とおもてなしを体験いただけるように課題や懸念点はチームを越えて洗い出しました。
●性能技術チーム 麻谷さん
離着陸性能担当
好きな飲み物・・プロテイン


新規就航する空港と代替空港における地上走行経路の検証を担当しました。滑走路や誘導路、駐機場の設計は国際基準に基づきながらも国や地域、空港によって特性があることが多く、離着陸前後に走行する可能性がある経路を安全に通過することができるのか、事前の検証が欠かせません。検証方法は衛星写真と飛行機の俯瞰図を用いて、滑走路、誘導路、駐機場、一つひとつの走行経路を調べていく意外と地道な作業です。路面の形状や障害物に応じて、飛行機の各タイヤの軌跡を計算、画面上で作図しながら、今までANAの飛行機が降り立つことのなかった空港での地上走行の安全性を検証しました。
●フライトオペレーション推進部の魅力
分野ごとに専門性を分担した他チームはもちろんのこと、現場の部門や各空港と連携し、
一便一便のオペレーション品質の維持・向上を図っている部署の魅力について伺いました。
●性能技術チーム 中川さん
好きなラーメン・・とんこつラーメン

巡航性能としてエンジンが一つ不作動になった場合でも、飛行を継続もしくは近くの空港に着陸する手順を設定するなど安全運航を守る重要な仕事を担当しました。飛行経路と地図をにらめっこしながら検証を進めていきましたが、特にイタリア・ミラノへの経路はアルプス山脈を横断するため検証には苦慮しました。航路チームが作成した経路は快適性や飛行時間も考慮して作成されているため、可能な限りその想いに応えられるよう運航乗務員とも連携しながら検証に取り組みました。
入社後は成田空港で運航支援者として働き、運航管理の資格も取得しました。以前は規程のユーザーでしたが、現在は規程の作成側として働いています。ユーザー視点を忘れず、安全かつわかりやすい規程の作成を心掛けています!
規程の管理部署として堅いイメージを持たれがちですが、意外と気さくな方が多い印象です。ただいざ業務になると、規程の細かい表現までこだわっており、オンオフの切り替えが上手いのはFO推の魅力だと思います。
●FO基準チーム 江口さん
好きな自動車メーカー・・・スバル

FO推所属6年目を迎えました。以前は運航管理部署、運航管理者/支援者への教育担当部署、旅客部門などで働いていました。
FO基準チームの主な役割は、新たに、もしくは改訂された航空局通達類の内容について、航空局を中心とした外部機関との調整を通して、通達の内容に沿う形で必要な事項を社内規程(FO基準チームで担当するOM)へ反映することです。変更内容に応じて、社内での様々な部署から知見をいただくことで、航空局担当官へ申請した後の承認までにかかる時間をより短く、円滑に進められるよう取り組んでいます。
FO基準チームの魅力は、業務の守備範囲が非常に広く、様々な知識を得ることができることです。また逆に、自身の担当業務についてとことん深堀をしていくこともでき、業務の達成感を大きく感じられると思います。
●一大プロジェクト、新規就航を振り返って
●航路チーム アンジェラさん
好きな楽器・・・ヴァイオリン

各国の飛行に関する情報や規程を確認し、さまざまな制限をクリアしながら、新しい経路をゼロから作り上げるという非常にやりがいのある仕事です。また、飛行距離を少しでも短縮することによって、定時性やお客様の快適性はもちろん、飛行効率が高まり脱炭素にも貢献しています。これからも引き続き安全運航を念頭に置き、さらなる効率化を目指して運航乗務員や運航管理者/支援者から信頼されるマニュアルづくりを続けていきたいと思います。
●性能技術チーム 盆野さん
離着陸性能担当
好きな旅行先・・・ウィーン

運航乗務員や運航管理者/支援者が使用する、離着陸性能計算アプリの管理を行っています。空港から安全に離陸できる最大の重量等を計算し、お客様数や貨物量を判定します。この重量は滑走路の長さや周辺の障害物の状況等によって大きく変化するため、アプリの定期的な維持管理が欠かせません。
長距離路線であるヨーロッパ線は搭載燃料も多く、特に欧州新規3路線は物流ハブとして、貨物輸送の面でも高い需要があります。そのため、自身の管理するデータが多くのお客様に影響が及ぶことを意識しながら業務にあたっています。ANAとして非常に重要なプロジェクトに関わることができ、嬉しかったこと、また新しいオペレーションの土台の一つを担うことに強くやりがいを感じました!目には見えない業務ですが、安全運航の根幹を支える機能として今後も専門性を磨いていきます!

ANAグループは、多様なバックグラウンドを持つ一人ひとりの「個の力」を「組織の力」として集結させ、安全運航を堅持し、ワクワクで満たされる世界を作り続けます。
※この記事は2024年12月の取材に基づく内容となります。