運航乗務員・スタッフがつくった絵本
「空の絵のぐ」に込めた想いとは

2024 / 12 / 24
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12月から機内エンターテイメントとして、国内線・国際線のe-booksに搭載された絵本「空の絵のぐ」。
制作したのは、現役の運航乗務員やそれを支えるANAフライトオペレーションセンターのスタッフ達でした。
制作の裏側に迫ります。

絵本「空の絵のぐ」と制作を担当した梅原知子さん、古田雅之さん

Q 絵本をつくったきっかけを教えてください。

古田さん:
私は機長として乗務しながら、職場のANA's Way(ANAグループ行動指針)推進担当としても業務を行っています。
昨年の秋頃でしょうか、ふと見たテレビで「大人も楽しめる絵本」の存在を知り、幼い頃の自分が描いていた「空から絵の具を取る」という空想がにわかに思い出されました。これを絵本にできないか、そしてその中でANA社員が大切にしている価値観を伝えられないか。そう思ってANA's Way推進担当の仲間に相談したことがスタートでした。

左から古田さん、内海至さん、石井彰さん

野見山さん:
ANAグループ行動指針であるANA's Wayを絵本にエッセンスとして盛り込むことで、これまでとは違う形でANA's Wayを推進する、というアイデアと熱い想いを古田さんから伺ったときに、これは絶対に形にしたいと思いました。
一人の運航乗務員の想いを、私たちスタッフを含めた仲間たちで、それぞれの強みを活かしあいながら、強い信念でやりきるしかない、と決心しました。これが形になったとき、会社を変える大きなパワーになるのではという期待感もあり、事務局として奔走しました。

左から野見山玲奈さん、梅原さん

Q どのように制作を進めたのですか。

古田さん:
ストーリーは私が考えたのですが、絵本なんて初めてのチャレンジ。進め方もまったくわからないし、何より絵も描けない(笑)!
そこで絵の得意な梅原さんに、ぜひ絵を担当してほしいと懇願しました。

梅原さん:
登場する妖精たちのキャラクターや性格についても、みんなで話しながら考え、それを絵でどう表現するか試行錯誤しました。色も細部までこだわっています!
他の皆さんが絵以外の部分を役割分担して、力をたくさん貸してくださいました。まさにチームスピリットを全員で発揮したと思っています!私にとっても、人に頼ったり頼られたりしながら、自信を身につける貴重な機会となりました。

梅原さんの描いた「空の絵のぐ」に登場する妖精たちのスケッチ。
客室乗務員職である梅原さんは、得意の絵を活かして、
機内でお客様へのサプライズカードを作成することも。

小野田さん:
実はこの絵本には、私たちの所属部署であるフライトオペレーションセンター内で集めた、たくさんの空の写真が使用されています。多くの部員に理解・賛同してもらうために、絵本作成の意義・目的を丁寧に説明したり、写真募集のポスターを作成したりして、協力を仰ぎました。結果的に70枚ほどの美しい写真が集まりました。無事に形となりほっとしています。

絵本で使われている空の写真はすべて社員が撮影したもの
社員撮影のたくさんの空の写真を選定する様子

槻木さん:
私は印刷を担当したのですが、これも初めての経験で製本が完了するまで、とても緊張しました。
古田さんの「幼いときの夢を実現させたい」という熱い想いに感動し、この取り組みにお誘いいただいたときに、ぜひとも一緒にやりたい、と感じて自分にできることをやらせていただきました。

左から長島功さん、槻木優策さん、小野田直起さん

Q 機内搭載の前に、部署のイベントで部員のお子様に配布したそうですね。

キッズデーの様子。当日は126名ものご家族が職場を訪問。

内海さん:
今年2月の部内のファミリーイベント(キッズデー)で、社員の子どもたちに配布しました。受け取って目をキラキラと輝かせるお子様を目の前にして、本当にやって良かったなと思いました。
参加社員からも、この絵本を子どもに読み聞かせるときに、自分自身もANA’s wayを感じることができたと感想をいただき、挑戦してよかったなと思いました。

石井さん:
キッズデーで配布するということで、「いかに子どもたちにわかりやすく伝わるか」にもこだわりました。
私自身、小学生の子どもがいます。そこで、子どもと二人三脚で案段階の絵本の文章を見直し、漢字を平仮名に直すなど、わかりやすい表現へと添削しました。

キッズデーを企画・運営したANAフライトオペレーションセンター(2024年3月当時)の皆さん

Q 最後に一言お願いします!

長島さん:
「運航乗務員発案の絵本」ということで、当初は正面業務と異なるチャレンジングな取り組みに対する様々な声をいただくこともありました。
その声を受け止めつつも、仲間とともに諦めずにここまで進んできました。頑張ってよかったなと思っています。

古田さん:
絵本の完成後も、これがスタートだ、との思いで動き続けました。
キッズデーでの配布を経て、2024年12月から2か月限定ではありますが、ついに国内線・国際線のe-Booksとしてお客様にお届けすることができることになり、本当に嬉しいです。
ANAフライトオペレーションセンターのすべての運航乗務員やスタッフはもちろんのこと、お客様や社会の皆様にも私たちANA社員が大切にしている想いがもっと伝わる最初の足がかりになれたら、と思っています。

絵本制作に携わったANAフライトオペレーションセンター所属(2024年3月当時)の皆さん
現在はフライトオペレーションセンターを離れ、客室乗務員としてフライトする日々を送る梅原さん(右)。
古田さん(左)・梅原さんで偶然同じ便に乗務したときの1枚。
絵本がつないだ固い絆は、部署が異なる今でもますます深まっている様子!