空港制限区域内にて自動運転トーイングトラクターの
無人貨物搬送の試験運用を実施!

2024 / 09 / 06
イノベーション・宇宙

ANAと株式会社豊田自動織機は、羽田空港にて自動運転トーイングトラクター※を完全に無人の状態で運転し貨物を輸送する試験運用を実施しました。
※空港などで、手荷物・貨物を収容した荷車やコンテナなどを牽引する車両のこと

空港の制限区域と呼ばれる、滑走路や誘導路、エプロンなどの立ち入りが制限されるエリアでの無人搬送は国内初となります。

今回の試験運用では、航空機や複数種の空港支援車両が混在する国内最大規模の羽田空港において、自動運転トーイングトラクターが貨物コンテナを牽引した状態で、安全かつスムーズに走行ができるかどうかの検証や、オペレーション上の課題の抽出などを行いました。

羽田空港での試験運用の様子

自動運転トーイングトラクターには複数のセンサーが装備されており、位置情報や障害物などを検知し、自動でハンドル操作やブレーキ制御をすることができます。

今回の試験運用に携わったANAオペレーションサポートセンターの森さんにお話を伺いました。

ANA オペレーションサポートセンター
空港サポート室グランドハンドリング企画部
森 真希子さん

Q:今回の試験運用までの道のりを教えてください
「2025年内の空港内無人搬送の導入に向けて、2019年2月以降、九州佐賀国際空港、中部国際空港、羽田空港において、安全監視者が運転席に乗った状態で自動走行の技術検証・試験運用を重ねてきました。当初は交通量の少ない環境下でまずは自動で走行してみることからスタートし、その後、遠隔指示・遠隔監視とセットでの自動走行が可能になりました。その後も様々な技術検証を重ねた上で、ついに無人搬送の試験運用を行うことができました」

Q:実際に羽田空港での試験運用を終えて、課題や今後に活かせる点はありましたか?
「まずは、試験運用を無事に完遂できたことが何よりだと思っています。国内空港の中で地上交通量が最も多く、車両の動きも複雑な羽田空港において、無人搬送を実現するには、単に車両が自動走行できるかということだけでなく、他車両といかに共存するかということがポイントとなります。試験運用を行うにあたっては、他事業者の皆様にもたくさんご協力いただきました。来年の導入までに更に共存しやすい環境構築、ルール設定をしっかり行っていきたいです」

Q:今後に向けて意気込みを教えてください
「日本のグランドハンドリングは、前工程と後工程のスタッフが息を合わせて、限られたスペースで最も効率的な方法で業務を遂行しています。この人の判断とチームワークにより、定時性を保ちつつ、多くの便をスムーズに運航できています。
しかし、航空需要が増加する一方で、人手不足が深刻化しています。そこで、機械ができる部分は機械に任せ、人間にしかできない判断業務・タイムリーな対応に集中できる環境を整えていくことが重要です。これにより、現在のグランドハンドリングの強みを維持しつつ、少ない人員でより多くの便を運航できるようにしていきたいです」

今回の試験運用を通じて、実用化に向けた技術面・運用面などの課題を洗い出し、2025年中の羽田空港での無人搬送の実用開始を目指してまいります。

試験運用を支えてくださった豊田自動織機、メイワスカイサポートの皆さんと