第17回「心のバリアフリーセミナー」を開催しました

2024 / 02 / 29
ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン

 2024年1月25日に「心のバリアフリーセミナー」を開催し、対面とオンラインを併せて約250名のグループ社員が参加しました。

 「心のバリアフリーセミナー」は、ANAグループの共生社会の実現に向けた取り組みです。様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことができるようにすることを目的に、2015年度から開催しています。

 17回目の開催となる今回は、「発達障がいを知り・学ぶ」をテーマに、NPO法人東京都自閉症協会役員の綿貫愛子先生にご登壇いただきました。

 綿貫先生は、専門職と当事者の視点で、教育や福祉の現場にて発達障がいのある方が「自分らしく生きること」を支援し、啓発する活動をされています。
大学生の時、学生ボランティアの一環として小学校で「特別支援教育支援員」(発達障がいの児童生徒に対し学習や生活のサポートを行う取り組み)に携わったことをきっかけに、自身に自閉スペクトラム症などの発達障がいがあることがわかりました。

会場の様子
セミナーの様子

 自身の子供時代を振り返ると、学校の授業を受けて「わかった」や「できた」と思えたことはなかった一方、勉強そのものが好きで、自分なりの学習方法をつくり、対応してきました。この経験が現在、教育の現場で発達障がいの子供たちを支援するモチベーションになっています。

困りごとのある「状態」や「状況」を解消するために

 発達障がいとは、「脳機能の違いにより、物事の捉え方や行動のパターンに違いがあり、そのために日常生活に支障のある状態のこと」と一般的に定義づけられています。

 ここでポイントとなることは「脳機能の違いがあること=発達障がい」ではなく、現在の生活に困りごと(=障がい)が生じているかどうかです。
 発達障がいを克服することや多数派になることを目指すのではなく、本人にとって困りごとのある「状態」や「状況」を解消することを支え、自分らしく生きるためにはどうすればよいのかということを念頭におきながら日々、綿貫先生は支援活動に取り組んでいます。
そして、綿貫先生自身も様々な工夫をしながら実践していることをエピソードを交えながらご紹介いただきました。

会場の様子

※綿貫先生投影資料より抜粋

Learning Difference (学び方の違い)を尊重する

 発達障がいの一つであるSLD(学習障がい)は、全般的な知的発達に問題はなく、読む・書く・計算するなど、特定の領域のみに難しさがみられます。
現在は「Learning Difference」という捉え方があり、「学び方には人それぞれ違いがあるため、その違いを尊重し、その人に合った学び方を提供することができれば、学習はできる」という発想です。
(例えば、読む・書くが苦手で、聞く・話すが得意であれば、聞く・話す力を活用して学習をサポートすればよいという考え方)

 セミナーの中では、綿貫先生の「文字の見え方」について共有していただきました。
文字の読み・見え方にもそれぞれ背景や個人差・特徴があり、綿貫先生の場合、文字が重なり反転しているような見え方をしますが、色のコントラストを調整することで、見え方を修正することができるため、色付きノートや色付き眼鏡を使用しています。

 加えて、フォントを工夫することも見やすくなる方法の一つです。読み書きに難しさを感じる方に、配慮したデザインのUD(ユニバーサルデザイン)フォントも紹介していただきました。
また本人にとっては、以下の例のような見え方は当たり前であり、通常の見え方と違うことに自覚がないケースが多いこともお話しいただきました。

※綿貫先生投影資料より抜粋

セミナーの最後に

 発達障がいは、前提として個人差が大きく、特性や症状の現れ方・個人の状況(性格傾向や環境要因の違い・これまで支援の経験があるかなど)によって、実態やニーズは異なります。

 「発達障がいの知識を参考にしながらも、マニュアルやステレオタイプな対応ではなく、目の前の方の、困りごとのある状態・状況は何であるか、その対応方法を一緒に考えていただきたい。皆さまは日頃から発達障がいに限らず、どなたに対しても目の前の方のニーズを一緒に考えて対応されていると思います。発達障がいだから●●をしようというのではなく、多様性の中でご対応いただけると有難く思います。」

 セミナー最後に綿貫先生からのメッセージを通じて、障がいの有無に関わらず、目の前の相手と向き合い、それぞれのニーズに寄り添った対応・行動することの大切さを改めて教えていただきました。

対面ならびにオンライン参加者の集合写真

 綿貫先生の講演後は、NPO法人ユニバーサルツーリズム総合研究所理事長の長橋正己様、副理事長の室井孝王様にもご参加いただき、アフタートークを行いました。
参加者との質疑応答のほか、アクセシブル・ツーリズムの観点からもお話をしていただきました。

アフタートークの様子(中央右から綿貫先生・長橋様・室井様)
セミナーを終えて、綿貫先生・長橋様・室井様とセミナー事務局で集合写真

セミナー参加者の声

「障がいがあるかないかに関わらず、人はみんな一人ひとり個性があり、強み弱みがあるということを理解することができた。障がいがあるから、『~だから』と自分の中で区別をしていたり『一般的にこう言われているから』と、それが常識なんだと思い込んでいたことに気付くことができた。」

「誰もが 『自分らしく生きていくために』という視点で考えること、まだまだできていないことが多いと感じた。楽しく見通しをもつことを意識した働きかけや、より具体的に言葉をかけるなど、すぐにでも取り組みたいと思う。」

「脳機能の違いがあることは当然で、障がいは困りごとがあるかどうかという点を学んだ。個人差の大きさ・多様性を認識し、『障がいがある』ではなく、『誰しもが』困りごとなく生きられるよう、一人ひとりと向き合っていくことが大切だと感じた。」

 ANAグループでは、これからもすべての人々に「ワクワクで満たされる世界を」楽しんでいただけるよう、ユニバーサルな取り組みを通じて、誰もがともに歩める共生社会の実現に貢献していきます。