1PointFive社のDAC施設イメージ写真(アメリカ・テキサス州にて2025年稼働開始予定)

~CO2排出量実質ゼロ実現へ~ 航空会社として世界初
ANA、大気中からCO2を除去する企業と契約締結

2023 / 09 / 08
サステナビリティ

ANAは実質的なCO2排出量ゼロを目指すため、航空会社としては世界で初めて、DAC(Direct Air Capture)と呼ばれる大気中のCO2を取り除く最新技術に取り組むアメリカの企業1PointFive社と、本年8月に契約を結びました。

2050年のCO2排出量実質ゼロを実現するため、ANAは運航の改善を行なって省エネ化を進めているほか、CO2排出量が少ない「SAF」と呼ばれる持続可能な航空燃料の本格導入に向けた準備を進めています。

さらに、排出量を減らすだけではなく、大気中の CO2除去の取り組みとして、1PointFive社と2025年からの3年間で3万トン以上のCO2除去・固定化の炭素クレジットを調達することになりました。これは羽田=伊丹区間の約1,000往復分で排出されるCO2量に相当します。

1PointFive社は現在、アメリカ・テキサス州に大規模なDAC施設を建設中で、施設では大気を特殊な機械に送り込むことでCO2だけを分離回収し、回収したCO2を半永久的に貯留・固定化する事業を行います。

ANAは、今後もこのような大気中のCO2を 除去する取り組みを進め、ANAグループの中長期環境目標実現に向けたトランジション戦略※における脱炭素手段の多様化を推進します。

ANA 経営戦略室企画部 GXチーム 有馬 慧子

2023 年 4 月に現部署に着任、入社以降初めて、航空の「オペレーション」ではなく「脱炭素」が仕事になりました。見るもの、聞くもの、すべて初めてのものばかりで、「DAC」もよくわからず、思わず上司に「だっくってなんですか?アヒルですか?」と質問したほどでした。
この5か月間はあっという間で、欧米や北米に出張へ行き、脱炭素に関する会合に参加したり、環境問題に取り組む企業を訪問したりしてきました。世界には環境問題に取り組む企業が多く存在しており、 私自身も新しい領域での仕事にワクワク感を抱きながら、日々脱炭素の方法を模索しています。
今回の契約締結に際しても、カナダにあるCarbon Engineering社(1PointFive社に技術を提供)の研究開発施設を視察し、まだ黎明期にあるこの技術の必要性を航空会社として世界に発信していかなければいけないと強く感じました。
DACを含むCO2除去事業は今後、世界的に技術革新が進んでいく分野だと考えられますので、ANAでは手段の多角化を模索しながら新しい技術を積極的に取り入れ、航空業界の脱炭素化をリードして行きたいと思います。

2023年5月 カナダにあるCarbon Engineering社のイノベーションセンターにて

※トランジション戦略について:
ANAグループは、2022年8月に2030、2050年の環境目標実現に向けて、トランジション戦略を策定しました。「運航上の改善・航空機等の技術革新」「SAFの活用等航空燃料の低炭素化」「排出権取引制度の活用」「ネガティブエミッション技術の活用」を4つのアプローチとして位置づけています。また、国際民間航空機関 (ICAO) 総会における国際航空のCO2削減に関する目標の見直し等を踏まえ、今年5月に一部アップデートしています。
参考:中期環境目標とトランジション戦略のアップデートについて