ANAグループが目指す未来。
宇宙プロジェクトへ懸ける想い。

2020 / 12 / 10
イノベーション・宇宙

1960年以来、宇宙旅行は人類最大の偉業のひとつ。

世界中の人々が宇宙への旅行を夢見て、技術革新に励んでいます。

民間による宇宙事業の開発が加速する中、ANAグループでは2018年から「ANA宇宙事業化プロジェクト」が立ち上がりました。

飛行機の運航で培ったオペレーションに関する知見を活用し、今後本格化する宇宙旅行事業など、さまざまな事業を作りだすことにチャレンジしています。

今回は、努力と挑戦を続けているプロジェクトメンバー2人に迫りました。


もともと宇宙に興味があり、宇宙旅行の実現に近い航空会社に入社

入社してから10年間、ANAグループの整備士として働いてきた熊谷さん。

学生時代から、世界中の人々が宇宙旅行ができるようにすることが目標でした。

好奇心を忘れず、常に新しい挑戦に立ち向かうというANAグループの姿勢に興味を持ち入社。現在は30人から成るPDエアロスペース社に出向しています。

PDエアロスペースはどのような会社で、何を実現しようとしているのか

2007年5月に「宇宙飛行機(スペースプレーン)」を広く世の中に出し、宇宙旅行の実現をめざし設立された会社、PDエアロスペース。

最大の特徴は、世界初となるジェットエンジンとロケットエンジンを切り替えることが出来る次世代エンジンを持っていることです。

ANAホールディングスは、2016年にPDエアロスペースに出資しました。

2021年までに無人飛行機(X06)で10キロ(33,000フィート)上空の飛行、2022年に無人宇宙飛行機 (X07) で最大高度100kmの宇宙へ到達、2024年には人が乗って宇宙を飛行する、そして2025年にはお客様を乗せた宇宙旅行の実現を目標として、実験・検証を続けています。

宇宙飛行機の機内から、地球を一望できる日が数年後にやってくるかもしれません。

無人飛行機と関係者たち

一緒に働いているメンバーとの共通言語は”Be a wing for Space”

宇宙への架け橋になるために何ができるかということを常に考えている、30名のメンバーは、非常に熱い情熱をもっています。今の職場について聞くと、熊谷さんはこう語りました。

「メンバーは少ないですが同じ志を持ったメンバーで長い時間過ごしているので、もう家族のような感覚です(笑)。無人機の地上検証を行うために、北海道までみんなで移動しました。地上局車に乗ってフェリーで乗り継ぎながら移動したり、4LDKの民家を借りて寝泊りしたり、ほぼ一緒に行動をしていました」。

直近の実験は成功に至らなかったのですが、無人飛行機が滑走しているところを見たときには感慨深いものがあったようです。

実験時に使用している地上局車
滑走路で待機する無人飛行機

「飛行機を整備する仕事」から「宇宙飛行機の仕事に携わること」への変化と挑戦

整備士の仕事は、飛行機のメンテナンス。もともと業務内容が決まっている仕事が中心です。ANAグループにいた頃は「安全」が第一でした。しかし、宇宙にはまだ法律が存在しないので、「法律(ルール)を創る」ということを重視する考えに驚いたといいます。

「飛行機を飛ばすという点では技術的なメカニズムはほとんど一緒ですが、飛行する外部環境が大きく異なります。仕事の環境でも大きな違いがあり、エンジンから機体の開発、調整、国との調整まで全て少人数でプロジェクトを進めなければいけないところも、チャレンジングなところですね」

そう語りながら、熊谷さんは笑顔で挑戦を楽しんでいるかのように見えました。

メンバーとの綿密な打ち合わせを行っている風景

宇宙旅行はいつできるようになると思いますか?

「人間が宇宙船で移動できるようになるまでにはまだ何年もかかると思います」。

ANAホールディングス経営戦略事業室事業推進部 鬼塚さんはこう語ります。

「一方、地球上には宇宙関連のビジネスチャンスが数多くあります。宇宙旅行が現実的になっていくと、輸送する手段が必要になる。加えて、旅行を成り立たせるような観光ルートを構築し、実行するための地球上での仕組みが必要となる。ANAグループでしかできないオペレーションに関する知見を活用した収益化の方法を模索しています」。

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、不確実なところも多い状況です。

鬼塚さんは、宇宙がANAグループの輸送事業の柱になることが私たちの夢だ、とも話をしていました。

こんな環境だからこそ、チャレンジ(挑戦)すべきかもしれない

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外からの資材調達が数カ月にわたって遅れました。また4月には緊急事態宣言が発令され、実験のスケジュールが遅れるなど苦境が続いている中、今回の取材をさせていただきました。

熊谷さん、鬼塚さん。どちらも共通して言えたことは、「努力と挑戦」の精神。

「こんな時だからこそ、どんな困難にもチームで立ち向かってチャレンジしていくことで、見えてくる世界は必ずある」

語っている2人の目の奥からは強い志と希望を感じました。

宇宙プロジェクトのメンバーと無人飛行機

ANAグループは、新型コロナウイルスという大きな苦難に直面していますが、これからも挑戦を続け新たな道を切り開いていきます。

ANA宇宙事業化プロジェクトについてはこちらをご覧ください。
https://www.ana-spaceproject.com/

twitterはこちらをご覧ください。
https://twitter.com/ANA_SPACE_PRJ