すべてのお客様が安心して空の旅ができるように。
機内の空気循環のしくみをご存じですか?
~HEPAフィルター開発担当者にインタビューしました~

2020 / 11 / 30

ANAグループが運航するすべての飛行機は、約3分で機内の空気が入れ替わっていることはご存じでしょうか。機内の空気は高性能フィルター「HEPAフィルター(High-Efficiency Particulate Air Filter)」でろ過された上で客室内に供給されています。空気は客室内に滞留せず、常に天井から左右の壁の下部にある通気口を通り床下の排気口へ流れており、この換気システムは地上にいる間も作動しています。このHEPAフィルターは病院の手術室の空調設備にも使用されていて、ANAグループのすべての飛行機に装備されています。

  • ポイント1 きれいな空気と十分な換気量

    上空のきれいな空気を大量に取りこみ、約3分で機内の空気がすべて入れ替わります。

  • ポイント2 高性能フィルター(HEPAフィルター*)を全機に装備

    機内の空気は高性能なフィルターでろ過された上で、客室内に供給されています。

    * 病院の手術室の空調設備にも使用されているフィルターです。

  • ポイント3 空気は客室内に滞留せず、常に天井から床下へ流動

    空気は常に天井から供給され、左右の壁の下部から床下へ流れており、客室内や特定の場所に滞留することはありません。

  • ポイント4 IATA(国際航空運送協会)は、「航空機内では感染リスクが低い」と発表

また、あわせてマスクを着用することにより、機内での感染リスクが極めて低くなることが、IATA(国際航空運送協会)やハーバード大学公衆衛生大学院T.H.チャン・スクールの最新の研究によっても発表されています。

今回は、「HEPAフィルター」を製造しているPall Aerospace社の研究開発部門シニア・プリンシパル・エンジニア ポール・ルー氏にお話を伺いました。Pall Aerospace社は、ろ過・分離・精製技術におけるグローバルリーダー企業として、ライフサイエンスから一般産業分野まで幅広いニーズに応えられています。お客様とともに健康、安全、環境に配慮した技術の向上に努めており、1940年代から「機内の快適さ」を追求して機内の空気の品質向上について研究・開発を行っています。

ポール・ルー氏
Pall Aerospace社

「かつて客室内にあった喫煙席のことを忘れている方が多いと思いますが、煙が禁煙席に流れないように空気を浄化することは、当時とても重要なことでした」と話すのは、ポール氏。

ポール氏は、1989年に航空宇宙エンジニアとしてPall Aerospaceに入社し、30年以上にわたり航空や宇宙における空気清浄技術に幅広く携わってきました。航空機内のエアフィルター(A320とA330/340)を最初に開発したチームの一員でもあります。

現在も、機内用の高度なエアフィルター (A-CAF) の研究を含む再循環フィルターの研究開発を担当。最近は、機内の空気の品質を向上させる技術開発に重点を置いています。

高品質のHEPAフィルターのメカニズムとは?

HEPAフィルターでは、「Direct Interception(衝突)・Inertial Impaction(慣性)・Diffusional Interception(拡散)」の3つの原理によって、客室内に存在するさまざまな大きさの粒子を取り除いています。

Direct Interception(衝突)

フィルターにはいくつもに区切られた穴(孔)が並んでいます。

粒子が穴より大きい場合はそこを通り抜けることができず、空気の流れの中から取り除かれるとされています。これを Direct Interception(衝突による捕捉)といいます。

Inertial Impaction(慣性)

穴よりも小さな粒子は、Inertial Impaction という効果によってフィルターが除去します。空気中の粒子はその重さで空気の流れから逸れて、フィルターの穴の表面にある繊維にぶつかって吸着されます。

フィルターの性能にもよりますが、このメカニズムによっておよそ 0.3 マイクロメートルから 10 マイクロメートルまでの粒子を取り除くことができます。

Diffusional Interception(拡散)

より微細な粒子はブラウン運動(*)によって素早くランダムに動き、粒子がフィルターの繊維や穴の壁にぶつかって吸着されます。

このメカニズムは約 0.2 マイクロメートル未満の非常に小さな粒子に有効で、粒子が小さいほどブラウン運動は大きくなり、捕捉効果は高くなります。

* ブラウン運動 = 微粒子がふるえるように不規則に動くことで、小さな粒子ほどこの動きをする

*1 マイクロメートルは 1000 分の 1 ミリ

https://www.pall.com/en/aerospace/commercial-fixed-wing/how-cabin-air-systems-work.html?_ga=2.114155079.1172934620.1604279998-1130141138.1604279998(英語のみ)

HEPAフィルターは、0.3マイクロメートルもの細かい粒子をとらえ空気中の99.97%以上の不純物等をろ過する機能を備えています。過去発生したSARSなどのパンデミックの際にも、空気を清浄化する有効な対策として重視されましたが、現在の新型コロナウイルスの飛沫を吸着することも可能です。

きれいな空気循環のしくみを伝え、飛行機に安心してまた乗っていただきたい

最近実施されたパネルディスカッション『飛行機を伴う旅行でのウイルス感染のリスクと適切な安全対策について』では、HEPAフィルターが装備された機内は常にきれいな空気を提供しており、感染リスクは非常に低いことが医師や旅行専門家により紹介されました。また、フェイスカバーやマスクの着用などお客様のご協力のおかげもあり、機内でのクラスター事例の報告はありません。HEPAフィルターへの知識・理解が深まったことにより、各種公共交通機関からPall社への問い合わせも増えました。バスや電車などは、私たちにとって新しい挑戦です。しかし、飛行機での旅行が安全であるという事実があるからこそ自信をもって導入ができると思います。

これまでのお取引先は、臭気の除去と微粒子汚染物質のろ過に関心がありました。ここ10年では、SARSや新型インフルエンザ(H1N1型)などの感染症対策に関心が高まっています。

私たちは早くから感染症対策にも力を入れてきたため、現在の新型コロナウイルス対策においても十分に対応できています。お客様の安全と健康を守るHEPAフィルターをANAに提供していることは誇りであり、きれいな空気を届け、どこへでも旅行ができる環境を取り戻す手助けをしたいと願っています。と、お話いただきました。

ANAグループでは、すべてのお客様に安心して飛行機をご利用いただくため、空港やラウンジ、機内などの清潔・衛生的な環境づくりや機内の換気の徹底をお約束します。

ANA Care Promiseについてはこちらをご覧ください。
https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/coronavirus-travel-information/