「機内トイレのドアをひじで開けられるようにできないか?」
コロナに負けないあんしん・安全な空への挑戦。

2020 / 09 / 17

機内の感染予防への取り組みが、着々と進んでいます。現在試作を進めているのが、ひじを使って開けることができる機内トイレ(ラバトリー)のドアハンドル。お客様は手を洗った後、直接手を触れずにドアを開けて出られるため、接触感染のリスクをぐっと下げることができます。ただ、私たちは、日常生活で「ひじを使う」という動作にあまりなじみがありません。ハンドルを「見ただけで」開け方を理解してもらえるか。開発に至るまでには、さまざまな試行錯誤がありました。


「足で開けるコンビニの冷蔵庫」がヒントに

「僕らも何か、手を打たないと」――。コロナの感染が勢いを増してきた4月中旬、ANA商品企画部プロダクト企画チームの牧克亘さんは、考えをめぐらせていました。普段は、機内のシートや客室の仕様決定などを担当する牧さん。機内でお客様にあんしん・安全に過ごしていただくために何ができるのか、感染対策に関するセミナーに参加したりと情報収集を進めていました。

そんな中、テレビで見たとあるニュースが目にとまりました。それは「感染拡大防止のため、コンビニに足でドアを開けられる冷蔵庫が導入された」というもの。手で触れずに、シンプルに開けられるドアなら、機内トイレに使えるんじゃないか。牧さんはひらめきました。

メーカーも準備を進めていた!2週間で試作品が完成

そこで、ゴールデンウィーク中に手書きでイメージを作成し「こんなことはできないかな?」と航空機内装品メーカーのジャムコ(*1)の大栗強さんにメールを送信。実は時を同じくして、ジャムコ社内でも新しい日常(ニューノーマル)に対応するためのアイデアを模索するプロジェクトを立ち上げ、企画提案をまとめている最中だったのです。両者の思いが一致し、共同開発は勢いづきました。

案の一つに「足で開ける」ことも検討しましたが、機内トイレのドアの構造上、通気口の上に足で開ける部品を設置せざるを得なく、これではお客様の足をかけるときに体勢が不安定になってしまい、かえって手すりに掴まるので、試作前の段階で没に。そこからは開発の焦点をひじで開けるものに絞り、7種類の試作品を、わずか2週間で作成しました。

牧さんが考案した手書きイメージ図
ラバトリーハンドルの試作品

開け方を分かってもらえない…。モニタリングで直面した難しさ

早速、お客様を想定したジャムコ社員に、ドアを開けてもらうモニター調査を実施することに。しかし、ここからが苦難の連続でした。

まず、板状のハンドルで試したところ、ドアを押して出ようと勘違いする人が出てきました。そこで、穴を開ければ「引いて開ける」と言うイメージになるのでは?と、つり革のような形状にすると、今度はつり革のように握ってしまう人が続出しました。

普段あまり飛行機を利用しない人を対象にモニター調査。あらゆる角度から検証を実施

お客様の立場に立って、試行錯誤をくり返す

モニター対象者へのアンケートだけでなく、直接話を聞いたり、利用中のビデオを何度もチェックしたり……。地道に一つひとつ課題を潰してテストを繰り返し、7月上旬、ようやく試作品が完成に至りました。小さな穴が空いていることで指をひっかけることもでき、さまざまな開け方に対応もできます。さらに、ピクトグラムやメッセージをつけたプラカードも設置し、わかりやすさも追求しました。大栗さんはこう振り返ります。

「モニタリングで私たちも考えを改めたのは、人それぞれ感染防止対策で気にするポイントが違うということ。ひじを使いたい人もいれば使いたくない人もいる。指一本で開けたり、袖口を使ったりと、色んなお客さまがいることが分かりました。そのどれにも対応できる、開け方の選択肢を増やす、という考え方が大事だと思います」。

ピクトグラムを使用したプラカード一覧
ジャムコ 大栗さん

牧さんは開発にあたり、心がけていることがあります。それは、実物を自分で見て試し、「なぜ?」を5回繰り返すこと。「本社でアンケートだけをオンラインで確認することもできるし、試作品もバーチャルで見られます。でもあえて、現場で現物を見るようにしています。使って試さないと、感覚ってなかなかわからないんです」。

「大きなあんしんにつながるピースのひとつに」

今後もテストを繰り返しながら、導入を視野に検討を進めていきます。牧さんは言います。「旅行も、出張もしたいけれど、まだ飛行機に乗ることに躊躇しているお客様の不安を払拭して、あんしんして、安全にご搭乗して頂くのが最終的な目標です。この取り組みは、ANA Care Promise(*2)のピースのひとつ。これ以外にも、さまざまな対策をおこない、大きなあんしんに繋げていきたいです」。

ANA 牧さん
7/20から9/4まで、羽田空港のANA LOUNGE入口に試作品を設置。
今後、お客様の声を反映し、実用化に向けた検討を進めます

だれもがあんしんして旅を楽しめる日を目指して。今後もANAグループでは、さらなるあんしん・安全を目指し、さまざまな対策を検討してまいります。

*1 ジャムコの取り組み “Project Blue Sky”
https://www.jamco.co.jp/ja/news/news/news2764695980665488611.html

*2 ANA Care Promiseの詳細はこちらをご覧ください
https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/coronavirus-travel-information/

ANA Group Snapshotはこちらをご覧ください
https://www.anahd.co.jp/group/pr/snapshot/20200908.html